機械学習エンジニアに求められるスキルと経験とは
執筆:天野彩
機械学習エンジニアは、日々急激に技術の進歩が進み、活用される分野が広がっていくAI(人工知能)を用いて新たなシステムを構築しています。需要が高いうえに採用市場に候補者が少なく、採用に苦労されている企業も多いのではないでしょうか。
このシリーズでは、採用が難しい人材の「源流」をたどり、素養をもつ可能性が高い人材の採用と社内での育成に役立てていただくために、希少人材の来歴を調査、分析します。
機械学習エンジニアの分析結果は「機械学習エンジニアはどこから来たのか 過去の経歴の傾向を分析」をご覧ください。
機械学習とは、AIを用いた分析手法のひとつ
本記事では、機械学習エンジニアとして働くにあたって必要とされるスキルと経験を紐解きます。
現在、顔認証、病気の画像診断、検索エンジンの最適化など、様々な分野でAIを応用した研究開発が進んでいます。
機械学習とは、AIを用いてデータを分析する手法のひとつで、大量のデータをもとにコンピュータ(「機械」)にデータの背景にあるルールやパターンを反復的に「学習」させ、新しいデータの傾向を予測させる手法です。
機械学習エンジニアは、アルゴリズム(問題解決の手順)を考えてシステムとして実現する職種です。システムの開発、実装から、機械に学習させるデータの収集と加工、動作環境の構築、システムの運用・保守までを担います。ソフトウェアエンジニアの中でも、AIエンジニアの一部であり、特に機械学習を扱うエンジニアであるといえます。
幅広い素養が求められる
現段階では機械学習エンジニアを含むデータサイエンス領域に関わる人材の数が少ないこともあり、会社によって機械学習エンジニアの職務内容の広さには幅があります。
機械学習だけではなく、データベースの構築、データの収集などの準備から手をつけなくてはならない場合もあり、幅広い能力が必要とされる場合があります。
AI開発に最も広く用いられているプログラミング言語Python(パイソン)などを扱うプログラミングスキル、機械学習とその発展形であるディープラーニング(深層学習)に関する知識、数学や統計の知識といった知識面での素養に加えて、それらの知識を活用するためのデータ分析力や問題解決能力などが必要とされます。
さらに、関連技術が急激に発展しているため、常に関連論文を調べて読んだり、大学や研究機関の研究者と情報交換し、最新情報を把握しておいたりする必要があります。
厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag[1]によると、関連学会の会員数などから推定すると、国内にいる機械学習やディープラーニングの専門家は1千人に満たないと考えられています。
このため他社でハイレベルな技術と経験を積んできた機械学習エンジニアや、新卒でもコンピュータサイエンスを専攻し、論文を多数出すなど実績を積んできた候補者は、現段階では採用市場に存在する母数が少なく、争奪戦の状態が続いています。